しばりしばられ9 その⑤(終) 縄抜け、そして逃走
Added 2021-03-26 10:05:57 +0000 UTC前のお話 → https://nobe.fanbox.cc/posts/2009421
「ちっ…電波悪りぃなこの家…。」
電話が通じず、イライラを隠せない。
「仕方ねぇ、外に出るしかねぇか。」
男はスマホを持って立ち上がった。
「逃げようなんて思うなよ。と言ってもその状態じゃ逃げることも不可能か。」
〈ガチャ…〉
そう言い捨て男は部屋から出て行った。
部屋の中央では沙希と咲椋が背中合わせで拘束されていた。二人とも胸の上下に縄をかけられた後手縛りを施されており、股間には股縄を通されていた。
唯一先ほどまでと違うことといえば股縄の縄尻がお互いの手首の縄に括り付けられているということだ。これにより一方の手首を動かすともう一方の股縄がキツく食い込んでしまう。
「ごめんね…咲椋ちゃん…」
縛り直す際に猿轡を外された沙希が口を開く。
「私が咲椋ちゃんを家に呼んだからこんなことになって…」
背中合わせで縛られているためお互いの表情を確認することはできなかったが、沙希が泣きそうなくらい謝っているのは咲椋に伝わっていた。
「…本当に…ごめんなさい……」
そういう沙希の声は微かに震えていた。
「沙希さんのせいじゃありませんよ。」
「咲椋ちゃん…」
「沙希さんがどんな人たちに狙われているかは分かりませんけど…少なくとも沙希さんは何も悪くないです。」
「…ありがとう……。」
沙希は震える声で告げた。
「まずはこの縄を解きましょう。あの男が戻ってくる前に。」
「うん!」
そうして2人は縄抜けに取り掛かった。
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈クイッ…〉
〈ギュゥ…〉
「ぁ…!」
「っ…!」
縄抜けしようと手首を動かすとお互いの股縄がキツく締め付けてしまう。
「沙希さん…これ……股縄が…」
「耐えよう…食い込むけど…縄を解く方が先決だよ…!」
「うぅ…分かりました…」
「まずは手首と股縄を連結させているところを解こう。」
「…はい…!」
そうして2人は縄抜けに取り掛かった。
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈ギュゥ…〉
「ぁん…」
「っ…ひぐ…」
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈ギュゥ…〉
「っ…ん…!」
「ぃ…ダメ…!」
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈ギチギチ…ギチギチ…〉
〈ギュゥ…〉
「ん…!!!」
「っ…!!!」
〈ハラリ…〉
「解けました…!」
「やった…!」
2人の奮闘の甲斐もあり、少女たちの股間に快楽という名の刺激を与え続けていた忌まわしき股縄は解けた。しかし、彼女らを拘束する縄はまだまだ存在していた。
「他の縄も解かないと…」
「まずは咲椋ちゃんの縄を解いて……」
沙希は後ろ手で咲椋の縄を解こうとする…が……。
「何をしている!!!」
男が戻ってきて縄抜けしているところを見られてしまう。
「縄を解きやがって…厳重に縛り直してやる…!」
男は麻縄の束を持って2人に近づいてくる。
「やぁぁぁぁ!!!」
〈ドンッ!〉
「ぐふ…!」
「さ…沙希さん!?」
沙希は縛られたまま男に体当たりを繰り出した。虚をついた攻撃で男はその場に倒れ込む。
「リビングの戸が空いてるからそこから逃げて!公園を抜けた先に交番があるからそこまで逃げて!」
「で…でも…」
「大丈夫…。咲椋ちゃんはもう走れるよ。」
沙希は男に馬乗りになりながらも、咲椋を勇気づける笑顔で告げた。
「っ……絶対に助けに戻りますから…!」
咲椋はそう言い残しリビングへと駆けていった。
「(がんばれ…咲椋ちゃん……。)」
沙希は咲椋を見送ると倒れている男を精一杯に抑え込んだ。
しかし、縛られた少女が成人男性の力に勝てるはずもなかった。
「この野郎!!!」
「きゃぁ…!」
沙希はうつ伏せの状態で男によって押さえつけられてしまった。
〈ギュゥ…〉
「股縄…解いたのに…」
男は再び沙希の股縄を締め上げる。沙希の股間に股縄がキツく食い込み、その縄尻を後ろ手の拘束と連結させる。
「これで大人しくなるだろ。」
「っ…!」
手首の縄に連結させられた股縄は縄抜けを画策するたびに自身の股間を刺激する。つまり逃げようとすれば自然と股間が刺激されるのだ。
「さてと…」
男は縛り上げた沙希を担ぎ上げる。
「どこへ…?」
「あいつが交番にたどり着く前に捕らえる。なぁに車を飛ばせば間に合う。縛られた状態では満足に走れないからな。」
「ふん…!咲椋ちゃんをみくびらないでほしいね…」
「ちっ…うるせぇな。」
〈クイッ…〉
男は沙希を担ぎ上げながら股縄を引っ張る。
「ぁん…!」
「お前は縛られてるんだから大人しくしてろ。」
〈クイッ…〉
「ぁ…ん……くそ…」
男は沙希を乱雑に積み込み車を走らせた。
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「はぁ…はぁ…」
すっかり暗くなった公園の中を走る1人の少女。その少女の身体は麻縄によってギチギチに縛られていた。
「(待っててください…!)」
咲椋はリビングから庭に出ると一心不乱に公園の先にある交番に向かって走っていた。後ろ手に縛られているため走りにくい。それでも必死に地面を蹴って前に進む。
「はぁはぁ…はぁはぁ…」
夜の公園は人っ子ひとり見当たらない。縛られた少女が走っていてもそれに気づくことはない。
「はぁはぁ…はぁはぁ…」
「(腕が振れなくて走りにくい…足だけで走るってこんなに大変なんだ…)」
咲椋は心の中で思った。
「(でも…足は縛られてないから走れる…。こんな私でも信頼してくれた沙希さんのために…絶対に間に合わせる…!)」
咲椋の懸命の走りもあって公園の出口がすぐそこに見えていた。
「やっとゴール!」
そして公園の出口には人影が2つ見えた。
「た…助けてください…!悪い人に縛られて……」
そこまで口にしたところで咲椋は固まってしまう。
「よぉ、遅かったな。」
「むぐぅ……。」
そこにいたのは男と猿轡を嵌められギチギチに縛り直された沙希だった。
「そんな……間に合わなかった……」
「人間の足ではどうやっても車には敵わねぇよ。」
落胆する咲椋に向けて男は続ける。
「縛られていながらよく走った方だぜ。だが負けは負けだ。大人しく拘束されてもらおう。」
男はボールギャグを咲椋に咥えさせる。
「はむ…んぐぅ…」
咲椋は抵抗することなくボールギャグを咥えた。
「行くぞ。」
男は沙希と咲椋の縄尻を持って車へと連行しようとする。
「ちょっと待ってください!」
「「っ…!?」」
背後より女の子の声が響いた。その声に沙希たちは驚く。
「人気のない公園で女の子を縛り上げてお散歩とは良い趣味ですね。」
振り返るとそこには沙希たちと同じ高校の制服を着た1人の少女が立っていた。
「誰だ貴様は!」
男の質問に答えるようにそのピンク色の長髪の少女は不敵に微笑み告げた。
「古町和奏、沙希さんとそのご友人を救うために馳せ参じました!」
「古町…!? 縄原様の言ってたくノ一か!」
「いかにもです!さぁ沙希さんたちを解放してください!」
「しゃらくせぇ!お前もろともふん縛ってやる!」
「現代のくノ一をただの悪い人さんが捕まえられるはずないですよ!」
そういうと和奏は男に向かって突撃していった。
「やぁぁぁぁぁ!!!!」
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〈ギチギチ…ギチギチ…〉
「ぁん…やめ…股縄は……!」
和奏は縛られていた。後手縛りに縛られ、胸の上下には縄がかけられている。そして股縄も施されその縄尻を手首の縄と連結させられていた。
「あんなに威勢が良かったのにな」
「うぅ…」
和奏は男に向かって突撃したところ石ころに足を引っ掛けて転んでしまった。そしてその隙に後ろ手に捻りあげられ縛られてしまったのだ。そんな和奏をジト目で見るのは沙希と咲椋。あまりのドジっぷりに呆れざるを得なかった。
「うぅ…そんな目で見ないでください…!私にはまだ奥の手があるんです!」
「むぐ?(奥の手…?)
「むぐぐ…(和奏ちゃんの奥の手って…たぶん…)」
「我が妹、優奏!私たちを助けてください!」
「むぐ!?(い、妹!?)」
「んぐ…(やっぱり…)」
「まったく…『今回は1人で助けて沙希さんのご友人に尊敬されちゃうのです!』とか言うから期待してたのに…」
〈ヒュンッ…ヒュンッ…ヒュンッ…〉
どこからともなくクナイが飛来する。
〈ブチィ…〉
〈ブチィ…〉
〈ブチィ…〉
そのクナイは3人の縄を切った。
「な…何が起きている!」
状況を飲み込めない男に目にも止まらぬ速さで1人の少女が迫る。
「チェックメイトだよ。」
「っ!?」
男が古町優奏の存在に気づいた時にはもう遅かった。
〈ドンッ〉
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警察からの諸々の事情聴取を終えた咲椋は沙希とともに古町邸を訪れていた。そしてそこで縄原の野望とこれまでの戦いについて聞かされた。
「なるほど…つまり和奏さんと優奏さんは縄原市長の野望を食い止めるために戦っているわけですね…。」
「はい。」
「まさか縄原市長が『全少女緊縛計画』という恐ろしい計画を立てていたとは…」
「安心してください!私がいる限り縄原の好きにはさせません!」
和奏は胸を張りながら偉そうに語る。
「えと…安心して良いのかなぁ…」
咲椋は苦笑いをしながら目を逸らせる。
「えっと咲椋さん…落ち着いて聞いてくださいね…。」
姉とは打って変わって真剣な表情の優奏は正座をしながら咲椋と向き合う。
「はい…。」
「おそらくこれからは咲椋さんも縄原の標的になる可能性が高いです。」
「いろいろ知ってしまったからですね…。」
「その通りです。縄原は今回みたいに誘拐犯を雇って咲椋さんを拘束しようとするはずです。」
「誘拐犯に拘束……」
咲椋の脳裏には誘拐犯によってギチギチに縛り上げられた自分の姿が映し出されていた。
「えへへ♪」
「さ…咲椋さん…?」
涎を垂らしながらにやけ顔で妄想していた咲椋を見て優奏は首を傾げる。
「あ…べ、別に縛られてる自分を想像して興奮してたわけではないので…!」
「あの…全部喋っちゃってますよ…」
「はぅ…!」
咲椋の頬はみるみる紅潮していく。
「え、えと…人にはいろんな趣味があって良いと思いますよ!」
「あはは…年下の子にフォローされちゃった…」
「大丈夫ですよ、縛られるのが好きな人もいれば縛るのが好きな人もいる。それで良いじゃないですか。」
「うぅ…ありがとうございます…。優奏さん…。」
「えへへ…(まぁ私も光姫さんと一緒なら縛られても良いと思いますし…むしろ光姫さんを縛るのもやぶさかではないですしね…)」
「ゆ、優奏さん…?」
脳内の妄想で頬が緩みきっている優奏に少し驚いてしまう。
「いけない…今のは忘れてくださいね。」
「は、はい…」
「それと…私は咲椋さんよりも年下ですから呼び捨てで構いませんよ。」
「それじゃあ…ゆ、優奏……っ!やっぱりダメです…。ちょっとくすぐったいですね。やっぱり“優奏さん”と呼ぶのが私にあってる気がします。」
「そうですか、それならこれからよろしくお願いします。咲椋さん。」
「こちらこそよろしくお願いします、優奏さん。」
優奏と咲椋がガッチリ握手を交わしたタイミングを見計らって和奏が首を突っ込んでくる。
「私ともよろしくお願いします。優奏より頼りないですけど…仲良くしてくれると嬉しいです!」
「はい!和奏さんはドジっ子かもしれませんけど人一倍優しい方だと思うので私は好きですよ。」
「うぅ…年下の子にフォローされちゃいました…。それにドジっ子って……。よ…よろしくお願いしますです…」
咲椋は和奏とも握手を交わした。
そして最後に咲椋は沙希と向き合う。
「沙希さん、ごめんなさい。結局間に合いませんでした…」
「それでも私の部屋から駆け出していく咲椋ちゃんの顔、とってもかっこよかったよ。」
「ありがとうございます。今度は沙希さんを助け出せるようにもっと早く走れるようにならないとですね!」
「おっそれは期待しちゃうなぁ」
「そしていつ縛られても良いように、後手縛りを施されながら走る練習もしないとですね!」
「え…あぁ…うん。(その前に縛られないような訓練をした方が良いんじゃないかな…)」
「よし!そうと決めたら早速走ってきますね!」
「ちょっ…まだ夜だよ!」
暗闇の中に駆け出していく咲椋。その心は夜が明けたように希望に満ち溢れていた。