イラスト集を作り始めて、約10年、計19冊になりました。(内、2冊は合作)
はじめてイラスト集を作ったのは廃墟の合作本で、デザインも入稿も私は関わらなかったのでイラストを描くだけで、製本まですすみました。
当時はキャラクターを自身では描かなかったので、ある意味ではとても楽でした。
フリーランスになる前はアニメの背景を描く仕事をしていたので、自分が関わった作品を誰かが観ているところをほとんど見たことがなかったので、イベントで、本を手に取ってもらえて、イラストをみてもらえるということはとても刺激的で嬉しいことでした。そのこと自体に感動した私自身に驚いたりもしました(笑)
そんなことがあって、フリーランスという立場をもっと楽しみながら、外へのアピールもできるイラスト集を作らない理由はないということで、個人での制作がスタートしました。
2020~2021年はコロナの影響で、イベントが軒並み中止や延期となり、作品を頒布して直に見てもらったり、手渡ししたりができなくなり、想像していた以上に「手に取って見てもらえる喜び」や「イベントに向けて準備していく工程」が絵を描くための理由や活力になっていたんだと気づかされました。イラスト制作自体は自粛期間でもできますが、発表の場が限られる状態での制作は、まさに終わりのないマラソンのようでモチベーションを保てなくなりました。しかもたちの悪いことに、そのマラソンではのんびり歩くことも立ち止まることも当たり前で、給水ポイントがいたるところにあるような、怠けていつの間にか脱落していそうなどうにも張り合いがないマラソンです。
締め切りがあるというのは、辛いけど、幸せなことなのかもしれません。
はじめて個人で制作したイラスト集は「Jikoman.」という2012~2014までに描いたイラストをまとめた画集でした。
今見るとシンプルというと聞こえがいい「どうしたらいいのかわらない」が前面にでている感じです。
Jikomanというタイトルから「自己満足」な絵という、ちょっと逃げどころを用意してビクビクしてる当時の自分が透けて見えます(笑)
最新のイラスト集「廃墟集塊」では以下のようになっています。
※どういう風に変化していったかなどもまた別のタイミングでまとめていきます。
はじめてイラスト集を制作したときにつまずくのは何よりも入稿データの作成で、トンボや塗り足し、本の厚みの計算など、わからないことだらけでした。
実際には印刷会社さんのWEBページに入稿データの作成ガイドがある場合がほとんどなのでその通りにやっていけば問題ないですが、最近では印刷のオプションがたくさんあります。紙の種類をどうするか、厚さをどうするか、どんな加工を入れるかなど、どんどん悩むことが増えてきます。
私自身、正直わからないことの方が多く、さぐりさぐりで毎度悩んでいます。
基本的には同人誌の製本の流れ(主に入稿まで)は以下のような感じです。
①【オフセットかオンデマンドか印刷の方法を選ぶ】
まずは印刷の方法を選びます。オフセット印刷は大量印刷に向いており、200部や1000部など部数が多いとお得に印刷できます。
オンデマンド印刷は少部数に向いています。多く印刷することで割引されることはあまり期待できません。
個人的にはオフセットがおすすめです。専門的なところは自信がありませんが、オフセットはインクで印刷して、オンデマンドは粉で印刷するようで、オフセットはしっとり紙に色が浸透した感じでグラデーションが綺麗に出やすく、オンデマンドは紙のっている感じで、モアレが出やすいようです。最近ではオンデマンドの印刷機も進化しているようでオフセットと変わらないレベルになっているようです。ただ、印刷会社によってそれを導入しているかはわからないので、そこもチェックするといいかもしれません。
はじめて本を作る場合は、自身がこれぐらい手に取ってもらえるのではないかと想像した部数より多めに印刷することを個人的にはオススメ致します。
オンデマンドなら再印刷をお願いするデメリットはあまりありませんが、オフセットの場合、大量に印刷すればするほど単価が下がります。赤字を出さないようにして次回作につなげるためにもどちらが自分に合っているのかを慎重に考えます。
知り合いとの交換用、次回イベントの既刊用、通販・委託販売用と…一度のイベントの頒布用だけで想定するのはもったいと個人的には思います。
ただし、創作以外の二次創作などはやはり流行りもあると思うので次回イベント用にと余分に作るのが正解かはわかりません。
②【綴じ方向、サイズやページ数、製本の仕方を選ぶ】
本を開いていく方向を決定します。基本的には作文の原稿用紙のように縦に文字を配置していく場合は右綴じ、文字を横に配置していく場合は左綴じにするのが一般的な
ようです。サイズやページは思った以上に重要です。絵を大きく見せたいからA3!→印刷!→段ボールがたくさん届いてびっくり!!ってことがあります。即売会イベン
トでは1スペースに搬入できる量が決まっています。参加するイベントのパンプレットなどを熟読し、自分のスペース、売り子さんのスペース、荷物を置くところ、ポス
ターを配置したらどうなるか、などを想像してどのくらい段ボールを置けるかなど考えてから決めるのも大事です。ちなみに代表的なところでいうとコミックマーケットは1サークルの搬入量が、幅90cm×奥行き70cm×高さ150cm以内です。
▲ここに2人立って、在庫が背後にあります。後ろの通路も確保しないといけないので少しでも荷物をコンパクトにした方がよいのです。A3がダメなわけではもちろんありません!印刷する前に一度、どのぐらいのサイズで、どのぐらいの厚み、100サイズの箱に何冊入るのかなどをなんとなくでも考えておくことが大事です。
「綴じ方」
製本の仕方は主に「無線綴じ」「中綴じ」があります。
無線綴じ冊子は背の部分を接着剤で固めて、別に印刷した表紙紙でくるむ冊子です。
中綴じはホッチキスで背をとめてまとめる冊子です。
●無線綴じは背表紙ができるので高級感があります。100P~などページ数が多い場合は選択の余地なく、無線綴じになる場合が多いと思います。
逆にページ数が極端に少ない場合は背の部分が斜めになり、無綴じが出来ない場合があるようです。
また、無線綴じのデメリットはノド(綴じによって見えなくなる部分)があることです。各ページに一枚の絵を配置する場合はノドになる部分に絵を配置しないようにし
ます。
見開きで一枚の絵を大きく絵を見せるときに中央に絵の主要なものがあるときに見づらくなってしまいます。見開きのつながりを少しでも良くしたい場合はレイアウトの
際にノドの見えなくなってしまう絵の部分をずらしておくことです。
●中綴じはノドのことを気にせずデザインできるので、レイアウトがとてもしやすく、見る際も開きやすいです。絵を見るうえでのストレスがなくなるメリットがあります。
そしてなにより無線綴じよりお安くできます。
▲とにかく絵を大きく見ることができます。
そして、意外と重要なのは、無線綴じと中綴じは綴じ方が全く違うので、ページを増やしたり減らしたりするときに違いがあることです。
当たり前といえば当たり前なのですが、A4縦の本を作る場合はA4を横に2枚並べたのと同じ横長の紙を重ねてホッチキスでとめます。つまり、12ページの本を最初作っていたが、14ページに増やしたいと思ったときは中綴じが選べなくなるということです。無線綴じなら背を糊で固める方式なので2ページごと増やすことが可能です。
イラストをとりあえず何枚も描いて、入稿ギリギリで配置していったら希望していた印刷方法のページ数とあわない…という事態は起こりやすいので製本の仕方について
は前もって頭に入れておくと安心だと思います。
③【表紙の加工や本文に遊び紙などをいれるかどうかを選ぶ】
表紙にはPPを貼ったり箔押しをしたりすることができます。ただしほぼほぼ有料オプションです。
加工に関してはあるのとないのでは大分見え方が違います。PP貼は、つやがあるPPとマットなPPを選べる印刷会社さんもあります。
発色をよく見せたいイラストの場合はつやあり、落ち着いた印象にしたい場合はマットを選んだり、好みで選びます。
▲左がつやありのPP、右がマットなPPです。
どちらも耐湿性に優れ強度も増すので、袋詰めなどが難しい即売会イベントなどにはおすすめです。イベント会場はスペースが狭いので、思わぬところで知らぬまに本に細かい傷をつけてしまうこともあるかもしれません。そういう本へのダメージを最低限にする予防策として加工をするのも予算に余裕があれば考えてもよいと思います。
また、他にもオプションで遊び紙や帯などもつけたりすることできます。トレーシングペーパーなどを遊び紙でいれると、表紙から本文に入る際のワンクッションで他の本と差が付き、一味違う!と思わせる効果があると勝手に思っています(笑)私自身はまだ試したことはありませんが、友人がこれをやっていてとてもうらやましく思いました。
帯は表紙には入れにくいような文字を入れたりしてアピールをしたりするのに便利です。はがしたら、差分で絵がかわって見える!など、仕掛けとして使うのも面白いです。
後編では
④【紙の厚さや種類を選ぶ】
⑤【支払い、最終確認、入稿】
に関してまとめたいと思います。他にも付け足すかもしれませんが、がんばって作ります(笑)
よろしければまたお付き合い下さいませ。