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ビジュアルノベル『TrymenT』と背景と葛藤と

以下はフリーランス、mochaの個人的な意見やおもったことでまとめられています。公式としての意見や主張ではないことをあらかじめご理解ください。

2016年10月28日に背景を担当させていただいたPCゲーム(R18)「Re:LieF〜親愛なるあなたへ〜」というゲームがRASKさんという新規ブランドから発売されました。いわゆる美少女ゲーム、砕けた言い方だとエロゲーと言われたりします。

はじめに言っておくと私は美少女ゲームをとても素晴らしいものだと思っております。美少女ゲームはそれこそ知識の宝庫であり、想像の斜め上をいくシナリオや展開、演出、主張や意見、制作者たちの人生が詰まったものでもあると思います。シナリオに重きをおいたものや専門的な内容を含むものは「意味が分からない」と思ってしまうような自分の知識とはすこしズレた「認識していなかった知識」が多くある気がします。しかし、話が進むにつれ、だんだんとその世界にのめり込み、エンディングを迎えたころにはその世界に染まり、最初認識していなかったその世界がリアルなものなっているのです。※最後まで理解できないけど、面白い作品ももちろんあります(笑)

クリエイターがそれぞれ描くものの趣味趣向が違うように、美少女ゲーム=可愛い女の子が出て恋愛をするゲームではなく、制作陣の理想とした世界を18歳以上の方が楽しむために構築したゲームだと個人的に思っています。

近年ではVRなど、その世界にダイブするようなコンテンツが出てきましたが、それも同じ方向を向いていると思います。

BGMや環境音、対峙して話をするキャラクター、その世界を表現するは背景、どんなシーンなのかを明確にする演出など…視線は動かせませんが美少女ゲームでもそういう没入感を大事にしてきていると思います。個人的にはそういう腰を据えて、落ち着いた状態でできるゲームが安心して好きです。

話がそれましたが、何を言いたいかというと、美少女ゲームは当初、私がもっていたイメージとは違い、想像している以上にジャンルが広く、説明するのが難しいものだったのです。

そのゲームを宣伝しようとするとき引っかかるのが「R18」という単語でした。R18は18歳未満の方へ大きなストレスや影響を与えすぎないようにする規制や配慮だと認識しています。

R18の美少女ゲームを、18歳以上の方に宣伝するというのは近年とても難しくなってきました。それ自体はとても大事なことなので大変ではあっても問題ではありません。

いわゆるパッケージを販売する店舗さんの減少、業界の縮小もあり、宣伝する場がSNSに移行するようになりました。SNSはR18コンテンツに慎重なのでその「良さ」をアピールするのが難しいというのがRe:LieFの宣伝をするときの印象でした。私は当初からR18作品を現段階で応援してくれている方々とそれ以外の外でそのコンテンツを知らない人にプレイしてほしいと思い、Twitterでもアカウントを分けず、情報を限定し宣伝してきました。

R18とは何かを日頃考えていましたが、「18歳以上のプレイヤーに向けたもので、表現の幅を最大限広げることのできる、限界突破」みたいな感じでとらえ始めました。お酒は二十歳過ぎてからですが、大人になってから初めて知る楽しみや考え方、苦しみや悲しみ、葛藤などすべてをひっくるめて18以上の方にささる内容であったり。作品によって表現したいものは違うと思いますのでそこはすべてに共通するものではありませんが、制作陣が表現したいものが濁さずに出しやすいコンテンツではあると思います。

その幅広さを味わえるのがR18というコンテンツですが、やはり世間一般のイメージは違うと思います。

あえては書きませんが、実に歯がゆいです。

そして、2020年2月20に「TrymenT ―今を変えたいと願うあなたへ―」というビジュアルノベルが発売されました。前作はRASKさんというブランドでしたが、今作はTrymenTというブランドで出しています。大人の事情ですが、メインの制作スタッフがほとんど変わったとかではありません。この作品は全年齢対象になりました。全年齢対象になって個人的な課題は、R18作品を含めたノベルゲーム、それに似たコンテンツを盛り上げる、でした。

とても残念なことに先に書いたように、業界的には縮小が続いていて、ヒット作名がついたものがありつつも本数でいうとゴニョゴニョ…といったかんじだと思います。私はそこまで業界に詳しくないので表面的なところしかわかりませんが、業界の方にお話を聞くとやはりいろいろと厳しそうな印象でした。

根強いユーザーさんは一定数いて、応援を続けてくれているけれど、やはり新規ユーザーが増えないことが課題のようです。需要と供給はすべてに言えますが、本当に難しいもので、いままで応援してくれているユーザーさんに向けたものを作りたいのもあるし、一方で新規のユーザーさんも獲得したい…そんなジレンマにとらわれつつ続ているのかなと思います。

ただ、新しいことをしようと思っても、ノベルゲームやビジュアルノベルのベースとなるあの独特の安心感を崩したくない。じゃあ、どこでアピールしていくのか…いろいろとプロデューサーでもないのに悶々と考えていました(笑)

結局答えは出ず、ただひたすらに最善を尽くして背景を描くことを続けてできたのがTrymenTです(完)


自分にできることはゲームの中の素材づくりです。それ以上でも以下でもなく、本当にそれだけです。

ただ、一つの作品を作るうえでの素材づくりというのはとても有意義なものです。背景においては、キャラクターが過ごすその世界を創造することができます。今作で大事にしたのは「やわらかさ」です。前作を知っていらっしゃる方はお気づきとは思いますが立ち絵の際のキャラクター達の塗りや等身がガラッと変わっております。当然のことながら、今作から知ってくださる方は何ともおもわないかもしれませんが(笑)

個人的には今作の方が背景は描きやすいしのでしっくりきております。これは私の絵柄によるものなので好みのお話ではないです。

今作は全年齢版ということもあり、等身に変化があり、塗りもライトなものとなったような気がしています。

他に理由があると思いますが、それは後ほど。

キャラクターの絵柄はまず最初に目が行く点なので多くの方に注目される部分だと思います。Re:LieFの情報公開当初は塗りの細かさに違和感があるという意見も多かったです。今作ではその塗りがあっさりして、前の方がよかったという方もいらっしゃいました。TrymenTを先にプレイしてからRe:LieFをプレイする人はそういう印象になるのか興味があります。自分はもう印象がついているのでどう思うかは想像しにくいですが、たぶん、絵的な重さや目の大きさに特に違いを感じるのではないかと思います。


TrymenTで大事にした背景の「やわらかさ」をだしたのはここに違いがあったからです。

塗りがライトになると当然情報が減るので背景を前作のまま進めると、背景の主張が強すぎて不安定な画面になってきてしまいます。

今作ではそれがおこらないようになるべく、黒や強い色をなるべく使わずに背景をまとめました。プレイ中に余裕がある方は背景の影の色に注目してみてください。何かしらの色を感じることができると思います。

あとはイベントCGなどでは、背景の一部が白く飛んでいる、白飛ばしが多々見られると思います。ゲームのイラストなどでは基本的に止め絵の扱いになるので、とにかくたくさん描いてずっと見ていられるものを…と意識して描きますが、今作はビジュアルノベルということで流れや「動」というものも個人的には意識していたのであえて通常の対話シーンなどで差を出してリズムをつける意味でも多めに使いました。※あと単純にキャラクター達の存在感が増すので。


ちょっと余談ですが、EVCGでは背景の先行作業が多く、かなり自由に自分のイメージをのせて描かせていただきました。暗いシーンではこのキャラクター影の中に入れさせてもらいたい、感動的なシーンではあえて背景ほとんど描かないとか…ふつうだったら指示通りに描くところですが、そのあたりはかなり自由にさせていただいて、今思うとだいぶキャラクター作画の雫さんとクロノさんは大変だっただろうなと思います。



あと、背景に関することではありませんが、今作はキャラクターが横向いたり前向いたり、隣り合ったり、いろいろします。対話する際の位置関係や動作がわかりやすくなっています。前作との圧倒的な違いがあるとしたらこのあたりです。キャラクターの塗りを変更したのも、全年齢向けというものが一番の理由だと思いますが、ひと画面で情報が多いと疲れるのと、単純に差分が多くて描き切れない、(登場人物、まだまだいますので…)多少そのあたりの違いがあるからだと個人的に思います。ゲームというよりはアニメに近い作品でもあるのでそう傾向もあると思います。



今回記事のタイトルに葛藤というのはこのあたりでした。全年齢に向けた作品への移行というは決して美少女ゲームやR18作品を離れたいという下向きな考えではなく、その幅広さや可能性を知ってもらいという歯がゆさから出てきた選択肢だと思います。TrymenTの表現したい部分でもある「今を変えたい」という気持ちと同じです。

人の気持ちを動かすことのできる作品を作りたいと思って、それにそういう作品にあたることは実はそこまで稀なことではありません。アニメの背景のお仕事をしていた時はとてつもなく有名な作品に携わることもできましたし、その作品で感動して泣くこともありました。

しかし、その作品を観て、感動して泣いたこともある人と話をした経験はありませんでした。作品制作で

その作品をプレイして(体験版をプレイして)感動したと意見を直接いただいて、そのこと自体に感動した作品がRe:LieFでした。

Re:LieF発売当時のことは何度も話しているのですが、発売日当日、SNSで作品の応援してくれていた方と初めて店頭で顔を合わせ、発売おめでとうと祝ってもらったとき、本当に背景を描いていてよかったと思いました。

その感動をくれた人たちに喜んでもらうための葛藤はまだ続きます。そして今作から知っていただき、プレイしてくれた方々の分も加えて、続編の制作に入っていくのです…たぶん(笑)




ここからは体験版あたりの話も含めますーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




プレイ直後にムービーが流れと思いますが、ほとんど知らないキャラクターでとても困惑したのが私です(笑)どんなキャラクターか実はわからずにEVCGの背景を描いておりました。(今もほとんどわかってない)

これに限らず、背景を描くときはシナリオを読んで描いているわけではありません。状況や、どういう心情か、明るい場面か暗い場面かなど、箇条書きでわかる程度の情報で描きます。

これに大きな理由があるわけではありませんが、単純に自分でプレイするときに新鮮な気持ちでやりたいっていうのもあります。あとは、シナリオを知っていることによる、過剰演出を避けたいというのもあります。ゴールがああなるからこうしたいとかいろいろ考えすぎるとか余計なものを詰め込んで、背景が主張し始めてきます。(あくまで自分の場合)そういう意味では、Re:LieFの記憶を消してからEVCGを描きたかったなというのもあります。記憶がない状態でそれぞれのCGを描いたら結構違う絵になっていたと思います。ユウの背景はもっとホラー寄りになっていたかも(笑)それこそ、つかみどころがなくて不思議な子だし…


個人的に好きなEVCGは加奈ちゃんが釣りから帰ってきたところです。釣りが好きっていうのもありますが、リールのラインがないところみていろいろ想像して笑ってました(笑)詳しくは言えませんが、とても「リアル」に近いキャラなので笑わない方が無理なのです。

某生配信で、初見の方に「コイツ、こわい!!」みたいな反応をされていたのもとても面白かったです。


自分が知る限りでちょっと今作を振り返ります。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


キャラクターはいろいろと語っているので本当にお疲れさまでしたということでまとめさせていただきます(笑)差分多すぎで組み込んでから、あれも必要、これも必要で行ったり来たりの制作だったのかなと妄想しています。

背景は胡太郎さんといっしょに描いています。立ち絵用背景の細かく行き届いたイイ感じのものは大体胡太郎さんです(笑)自分はEVCGを中心に、立ち絵では港や温泉、ゴニョゴニョやゴニョゴニョ(ネタバレになるので名前で呼べない)など。簡単に言うと自分が苦手なものを胡太郎さんが担当してくれています!感謝感謝…

今作からキャラクターの人数も大幅に増え、当然ながら声優さんも増えました。とても新鮮なはずですが、みんなしっくり来ていて、最初から知っていたような不思議な感覚でした。でも、その時々の感情で声にいろいろな表情があって、本当に日常生活で身近の人の新しい一面を知る…みたいな感覚がありました。改めて声優さんのすごさを再確認しました…。

シナリオはプロデューサー兼、作画兼、進行兼、演出兼…兼業ありすぎの方が考えていました。天才などではなく努力の塊なのだと話を進めていくと改めて思います。

音まわりはもうよくわからない凄さですごいなあとしか言えません。(本当に制作過程やその葛藤がわからない)感動はほとんどが音楽が起点になるのでうらやま…ってかんじです(笑)

デザイン面では無駄をなくした洗練された感じがしました。

画面ではビジュアルノベルっていう性質上、ゲーム画面というよりは映像作品としての面の方が強いのでコントロールするためのボタン(アイコン)とかもない方がたしかに世界に入り込みやすい気がしました。あやめが車いすということもあって、下にウィンドウを出すと生首が浮いている状態になっちゃいますし…あやめを上に上げすぎると空中浮遊してるみたいになっちゃいますし(笑)

映像では前作同様、イラストを数倍魅力的にして動かしてくれて、全てを一つにする繋ぎの役割、本当に素敵でした。サビで鳥肌。あと、時計がクルクルするところとか動きのこだわりとかすごかった…あげたらきりがないのです。

youtube post: eF-tY4_SVtU

今回は広報担当がいなかったので前作のユーザーさんに頼った形となりました。本当にありがとうございました!大きな方向転換があったにも関わらず、変わらず応援を続けてくださった皆様には感謝しかありません。


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例えがあれですが、テレビの戦隊ものの特撮とかで、みんなで手を合わせたり武器を合わせたりして、必殺技みたいなので最後敵をドーン!と倒すじゃないですか。あれとゲーム制作とかは似ていて、それが如実に出るのがOPの動画とかEDだと個人的には思っております。もちろん日常シーンでも総合的にみられる部分ではあると思うのですが。人の心を動かす瞬間って各役割をもった作り手の成果が一極集中したときだと思います。ドーンとなる時に、1つでもかけると違和感になって集中できなくなったりします。それをなくすために精一杯で、作品制作はあっという間にマスターアップが来ます。やってもやってもキリがなく、ほとんどの作り手がもっとやることがあった…って悔しさを残したまま作品を出し続けます。


感想を描きながら思うのは自分はスタッフ側でありつつも、ファンであるということです。この作品にかかわることができて本当に良かったです。未熟なところもありますが、この先も続いていき、さらに上を目指して「Try」していきたいです。


最後に、この作品の話ではなく、是非とも応援している作品の感想は表に出してくださいませ!

作品が広まるきっかけにもなりますし、制作側からプレイしてくださっている方々を知るきっかけでもあります。制作側はプレイしてくれる方を意識したり想像できると、だいぶやる気に差が出ます(笑)

あの人の為に頑張ろうっていう気持ちはここぞというときに踏ん張るエネルギーになります!


長くなりましたが、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。




















(YouTube)


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