IllustratorsLeak
紺

fanbox


辨野伊緒の元ネタの話

お世話になっております。


先週から今週は刺激的な回が続きキャラがお叱りを受けていて胃が痛かったです。


ただ、私個人も自己矛盾に苦しみながら何年もオタクをやってきた経験を踏まえて描いているので、若いオタクはやらかすし痛いけど、人生の地層に確かにあった歴史とどう向き合うのか描いていきたいです。


今回は少し元ネタのお話をします。コミックスのカバー下にも色々書いていますのでよかったら読んでみてくださいね!(電子版にも掲載されています)


辨野伊緒は「ベンヴォーリオ」が元ネタです。BLを足す。


元ネタでは友人を大切にする善意の人で、ロミオのイトコで親友という設定です。ただ善意が故に色々やらかします。


ロミオとジュリエットは2部構成で、1部はロミジュリ家系の対立構造の中出会い愛し合い、秘密の結婚をする二人が描かれ、2部では自分も周囲もやることなすこと裏目に出て二人が死んでしまうまでが描かれます。


ベンヴォーリオの見せ場は2部です。


お話の流れとしては、ジュリエットの従兄であるティボルトがロミオの親友マキューシオを殺し、それに怒ったロミオはティボルトを殺し、国外追放されてしまいます。最後の夜を過ごした後、ロミオは国外へ、ジュリエットは1部から予定されていたパリス伯爵と結婚させられてしまいそうな状況になります。


結婚式を行ってくれたロレンス神父のところへ行き、そこでロミオと逃げる相談をします。ロレンス神父は哀れに思い、二人のために作戦を立てます。


「ジュリエットが薬を飲んで仮死状態になり霊廟に収められた後、迎えに来たロミオと逃避行する」というなかなかにやべー奇策でした。


そしてここで、手はずを伝えるためにロミオへロレンス神父が書いた手紙が届く前に国外追放されていたロミオにジュリエットが亡くなってしまった!と伝えに行ってしまい、失意のロミオは霊廟へ赴き、仮死状態のジュリエットの隣で毒薬を飲んで自死、仮死状態から目覚めたジュリエットはロミオが死んでいるのを見て絶望し自分を刺して死んでしまいます。


こんな作戦を思いつくロレンス神父もアレなんですけど判断が遅ければジュリエットが結婚していたし、一刻の猶予もない状態で出した奇策としては十分だと思います。


ベンヴォーリオもマキューシオが死んでロミオが国外追放、ジュリエットがそれを苦に死ぬという地獄でいてもたってもいられずロミオへ会いに行ったんだと思うんですけどそりゃあほんとにジュリエットが死んだんなら最後の別れを言いたいだろうし伝えにいくでしょう。 いやどうかな。 私なら黙っておくかもしれない。時代が時代なので言わなきゃ国外とかバレない気がする。


二人の死後どうすればいいんでしょうね。二人を愛している人たちの感情が裏目に出すぎるのがロミオとジュリエット第二幕の物語的面白いポイントだと思います。


ただこれ、皆10代の若い子たちなんですよね。ロレンス神父は大人故に二人で逃がしてやればどうとでもなるだろうと思ってそうですが、それ以外のロミオたちは5年後10年後どうなるとかではなく今目の前にいるジュリエットが好き!!とかロミオと一緒にいられなくて悲しい!!とかパッションにあふれているからこそ応援したくなります。


ロミジュリ以外のモンタギューとキュピレットは相手がその家系だというだけで憎悪しています。現代日本の恋愛観だと「そんなの関係ない」と言えますが、これが恋愛でなかったら、と考えるときもが冷えました。


ロミオとジュリエットの両家は宗教的な対立が背景としてあるのでこれを自分ごととするのは難しいんですが、概念的に偏見のぶつかり合いのようなものと考えるととても身近な気がしてきます。推し百合にも実は色々元ネタ要素や色んな偏見をちりばめていますが、それをどう克服していくのかも描いていきたいので、応援してくれると嬉しいです。


ここまで読んで下さりありがとうございました。

辨野伊緒の元ネタの話

Comments

報瀬無音さん読んでいただきありがとうございます!仰る通りで理論をどれだけ組み立てても精度が高ければ高いほど絶対に感情で自己矛盾すると思うのでそういう生き物として今後も見守ってあげてください!電子版も紙版もそろえてくださりありがたいです!今後も頑張ります!

紺先生こんにちは。毎日の更新、楽しく読ませて頂いております。 最近の話は西園寺さんに対し「こいつ…!」と思いつつも、「でもまあ人間ってそういうもんだよな」と興味深く読ませて頂いております。 仰るとおり人間は自己矛盾を抱えた生き物で、(私見ですが)それは何故かと言うと論理性や合理性よりも感情が勝る生き物だからだと私は考えています。 でもそれ故に良いモノが生まれることも確かだと思っていますので、自己矛盾的な部分を敢えて描写する、という表現も含めて「やはり紺先生の百合解釈、信用出来る…!」と再認識した次第です。 余談ですが、1巻に引き続き2巻も電子書籍両方で購入させて頂きました!今後の更新も楽しみにしています!

報瀬無音


More Creators